「王様の馬車を犬がだいなしにしてしまったという話ですが、それを実際に
  ごらんになったのですか?」
 「いや、見てはいないが、かんだあとと犬の毛があった。
 それがなによりの証こじゃ。」
 「それでは、町中の犬が犯人なのですか?」
 「いや、そうではないが、どの犬なのかわからないからだ。
 犯人さえわかれば、命令をやめてもかまわん。」