おはなし1・お祭りの日のできごと

 ある年のお祭りの日の事です。お祭りの見物(けんぶつ)にきていた、シッダールタ王子は何気(なにげ)なく田んぼのほうを見ました。
 そこには、小さな虫が土から出たり入ってりしていました。すると、空から小鳥がさっと舞(ま)い降りてきたかと思うと、虫をくちばしでつかまえて食べました。小鳥が飛び上がろうとしたとき、今度は大きな鳥が飛んできて、小鳥をするどいツメでつかまえて飛び去ってしまいました。

 王子は、おどろくとともに、あっという間に次々と命が失われるのを見て、いったい生きるという事にはどんな意味があるのだろう。なぜ、生き物は、生まれてきて死ななければなららいのだろう。と深く考えるようになりました。