シッダールタ王子は、父、シュッドーダナや義母(ぎぼ)のマハーパジャパティやまわりの人々の愛情(あいじょう)を一身(いっしん)にうけてすくすくと大きくなりました。

 王子はたいへん賢(かしこ)く、いろいろな学問(がくもん)を身につけてゆきました。また、運動や武術(ぶじゅつ)もとくいで、そのうでまえはならぶ者がないほどでした。

 しかし、うまれてすぐに、ほんとうのお母さんをなくした王子は、よくもの思いにふけることがありました。
「おかあさんは、私を生んだばかりに命をちぢめてしまった。私がこの世に生まれてきたのにはどんな意味(いみ)があるのだろう。」
王子はとても心のやさしい方でした。

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