おはなし2・かずかずの奇跡

 マーヤーが不思議(ふしぎ)な夢(ゆめ)を見てからかずかずの奇跡(きせき)が起こりました。

 庭では見たこともないような美しい蓮華(れんげ)の花が咲(さ)き乱(みだ)れました。また、どこからともなく心がやすらぐような音楽が常(つね)に聞こえてきました。

 シュドーダナが狩(かり)に出かけると、鹿(しか)やうさぎや鳥たちが、逃げ出すどころか、近づいてきてシュドーダナに親(した)しく寄(よ)りそいました。

 さらに、日照(ひで)りがつづく季節にも、この年にかぎって川は干上(ひあ)がらず、水が不足(ふそく)する事もありませんでした。ひそかにかカピラバストゥーをねらっていたある国の軍隊(ぐんたい)は、とつぜん、イナゴの大群(たいぐん)におそわれて、命からがら逃げ出しました。

 人々は、きっと、この世にとてもすばらしい事が起こるのだと考えました。