「因(いん)」とは、直接的な原因、「縁(えん)」とは条件をいいます。
 「因縁縁起(いんねんえんぎ)」という言葉で使われます。「因と縁に縁(よ)って起こる」、つまり世の中の物事というのは全て、まず原因があって、そこに様々な条件がそろって、初めて起こるという意味です。

 世の中の全てのことが、因縁縁起で成り立っているのです。

 ところで、「縁」というのは無数あります。私たちにはその全てを知ることができません。私たちにとって想像もつかないものが実は条件になっていたりします。だから因縁は不思議なものなのです。
  このことを、笑い話にした有名な昔話があります。
   「風が吹けば桶屋がもうかる」
  なぜ、風が吹いたら、桶屋さんがもうかるのでしょうか?一度、調べてみるとおもしろいですよ。

参考:同じ意味を、古い時代の仏教では、「因果(いんが)」といいました。
   「因」は原因、「果」は結果です。

 例えば、ここにリンゴがあるとします。リンゴがここにあるためには、まず始めにリンゴの種がなくてはいけません。そのリンゴの種が土に埋もれ、適度な水、適度な温度、土には肥料となる養分などなどがあって、芽を吹きます。
  次には、光や水などでどんどん大きくなります。丹精を込めてリンゴを世話をする人も必要でしょう。また大きくなるまでには、病気になってはいけません。風に負けてもいけません。いろんな条件がそろって、大きくなり、やがてリンゴの実をつけます。
  そのできたリンゴの実をとって、あなたの前にでてくるまでに、またもやいろんなことが必要です。お母さんが果物屋でリンゴを買うのにはお金がいります。そのお金は誰がどうやって稼(かせ)いでくるのでしょうか。
  初めのリンゴの種が「因」、そしてその種が大きくなって、リンゴの実となって、あなたの前にくるまでの数え切れない条件を「縁」といい、それらが一つも欠けることなく全てそろって始めてあなたの前にリンゴがある、これを「因縁縁起」といいます。