自分の娘(むすめ)たちも、悪魔(あくま)の大軍団も敗(やぶ)れ去った魔王(まおう)は、ついに自分でシダールタと対決(たいけつ)することにしました。
魔王は恐ろしい形相(ぎょうそう)で、シダールタの前に立ちふさがり、幻術(げじゅつ)、妖術(ようじゅつ)の限りを尽(つ)くしてシッダールタを苦しめようとしました。
岩の雨や、剣の雨、日の雨などを降らしたり、見たこともないような醜(みにく)い化(ば)け物を出して襲(おそ)わせたりしましたがシッダールタにはまったく通用しません。
とうとう魔王は、最後の力を振り絞(し)って、この世のすべてを覆(おお)い尽くすような暗闇(くらやみ)でシッダールタを包み込んでしまいました。
しかし、魔王のあらゆる力がもはやシッダールタには通じないことを知ると、とうとう魔王は降参(こうさん)して、いつしかいなくなってしまいました。