おはなし3・苦行の日々の終わり

 シッダールタは、6年間はげしい苦行(くぎょう)を続けましたが、やはり真理(しんり)は見えてきませんでした。

 「苦行を行うものはおおいが、わたしほどはげしい苦行を行ったものはいないだろう。しかし、ついに悟(さとり)りをえることはできなかった。体を痛めつけるだけでは真理は見えてこないのだ。」
 その事に気が付いた、シッダールタはゆっくりと立ち上がり、川のほうに歩き出しました。そして、川に入って、汚れた体を清(きよ)めましたが、あまりに体が弱っていたので、危(あや)うく川に流されそうになりました。

 ようやくの思いで岸に戻り大きな木の下で座禅(ざぜん)を組んで座っていると、ひとりの村の娘(むすめ)が通りかかりました。
 娘の名前はスジャータといいました。スジャータはシッダールタの疲(つか)れ果ててはいるが立派(りっぱ)な様子を見て、持っていた乳粥(ちちがゆ)をシッダールタに差し出しました。
 スジャータの乳粥を食べたシッダールタは、全身(ぜんしん)に力が満ち、心のかがやきが増していくのを感じました。