またある日、シッダールタ王子が南の門から出ると、道端(みちばた)で青白い顔をして苦しそうにもがいている病人(びょうにん)がいました。 「あれはなんだ?」王子はお供(とも)のものにたずねました。 「あれは、病人でございます。人として生まれたものはみんな、いつかは病(やまい)を得(え)てあのような姿になるのです。」 王子は、自分もいつかはあのような姿になるのかと思うと、さらに暗い気持ちになって、宮殿(きゅうでん)の中に引き返しました。