おはなし1・老い

 シッダールタ王子が東の門から出ると、腰(こし)がまがって、みにくい姿(すがた)になってしまった老人がいました。
 「あれはなんだ?」王子はお供(とも)のものにたずねました。
 「あれは、老人でございます。人として生まれたものはみんな、いつかは年をとってあのような姿になるのです。」

 王子は、自分もいつかはあのような姿になるのかと思うと、心がつぶれそうな気持ちになり、宮殿(きゅうでん)の中に引き返しました。