菩薩(ぼさつ)が水牛(すいぎゅう)に生まれたとき一族(いちぞく)をつれてゆうゆうと歩いていました。すると、心のせまい猿(さる)がねたみの心から、さんざん悪口を言ったり、石やわれたお皿(さら)などを投げつけてりしました。
しかし、水牛は、ちっとも気にせずに歩きつづけ、静(しず)かに立ち去りました。
森に住む木々の神様が、わけをたずねると、「あの猿は、私(わたくし)たちにやったと同じことを、また、ほかのものにもするでしょう。いつか、だれかに討(う)たれて、ほろびるにちがいありません。私たちが怒(おこ)ったりしなくてもいいのです。」とこたえました。
そのことばのとおり、猿はその後(のち)も通りかかったものたちにわるさをしていました。 そして間もなく、通りかかったバラモン〈昔のインドの僧〉にわるさをはたらいたところ、怒ったバラモンたちにつかまり、とうとうころされてしまいました。